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よくいただくご質問

皆さまからよくいただくご質問をFAQ方式でご紹介します。


  • 自然エネルギーについて

    1 グリーンピースはなぜ自然エネルギーを推進しているのですか?

    太陽や風でつくる「自然エネルギー」*1は、無限にある自然の恵みからエネルギーを作ることができ、資源の輸入も必要ない国産エネルギーです。気候変動の最大の原因である二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー*2でもあります。また、原発や化石燃料をつかう火力発電のような大規模な発電所とは違って、市民が自らの手で作り上げることもできる民主的なエネルギーでもあることが理由です。

    自然エネルギーが無限の資源であるのに対し、石油や石炭、天然ガス(LNG)などの化石燃料資源は約50年から100年の間で枯渇すると言われる有限の資源です*3。また、これらの資源は海外からの輸入に頼っており、オイルショックなど原産国の情勢に輸入量を左右される可能性があります。化石燃料資源が排出する温室効果ガスは、最新型の天然ガス(LNG)火力発電であっても、自然エネルギーの2倍の二酸化炭素を排出します(詳しくはQ11をご覧ください)。

    従来の大規模な発電方法(原発や火力発電所)では、発電所を建設・運用できるのは、大きな電力会社や企業のみなのに対し、自然エネルギー発電の設置は実際に市民が計画し、設置することが可能です。実際に、ドイツでは自然エネルギー設備の35%が個人の所有、11%が農家の所有となっています(2013年4月時点)*4。
    地域に雇用が生まれるだけではなく、電気を買うために地域外にお金を支払う必要がなくなり、お金が地域に還流していきます。日本でも、地域でつくる地域のためのエネルギーとしてのコミュニティ・パワーが全国各地で生まれています。

    地球の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることを定めたパリ協定を達成するために、また、東京電力福島第一原発事故のような原発事故を二度と起こさないためにも、地域の環境や暮らしに配慮した自然エネルギー利用へ転換していくことが重要だと考えています。

    *1:グリーンピースでは、かつて原子力発電も、核燃料を”リサイクル”することによって「再生可能エネルギー」と呼ばれていたため、区別するために太陽光や風力、地熱などの発電方法を「自然エネルギー」と表記しています。
    *2:自然エネルギーもサイクルの中では二酸化炭素を排出しますが、発電時に二酸化炭素は生成はされません。
    *3:http://www.enecho.meti.go.jp/about/faq/006/
    *4:https://www.unendlich-viel-energie.de/features/good-reasons/2-more-public-participation

  • 2 自然エネルギーが環境にやさしいって本当ですか?

    自然エネルギーは、発電中に二酸化炭素の排出がないことや、核廃棄物などが発生しないという点で、クリーンで環境にやさしいエネルギーです。しかし、風力発電の風車に鳥が衝突するバードストライク問題や風車が回るときの騒音の問題、また、メガソーラー発電所による森林伐採など、自然エネルギーの発電所によって問題が起きないわけではありません。
    自然エネルギー発電でも、自然環境の中に人工的な建造物をつくります。だからこそどのようなリスク(環境や住民への影響)があるのか、丁寧な検証と説明が必要です。その上で、得られる利益とリスクを比較し、どのようなリスクであれば受け入れられるのか、しっかり地域の住民の方が主体となった合意形成、開かれた議論が必要です。

    たとえば、ドイツでは、風力発電と住民の健康被害や自然環境をどのように両立するかが住民参加の形で議論され、風車の設置にふさわしい地域とそうでない地域を、あらかじめ指定する制度(ゾーニング制度) が運用されています*1。日本でも、静岡県富士宮市で「富士宮市富士山景観等と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和に関する条例」が制定されたり、徳島県鳴門市では自治体がNGOとともに自然エネルギー発電設備の立地適性を検討するなど、取り組みが始まっています。

    自然エネルギー発電の中にも、すでにある空いているスペースを有効活用した方法もあります。そのひとつは、都心にあるビルや家屋、学校などの屋根の上にソーラーパネルを設置し、発電する方法です。空き地のない都心を中心に採用されています。
    2014年には東京都が「東京ソーラー屋根台帳」を、2016年には名古屋市が「ソーラーパワー診断マップ」を作成し、調べたい建物の屋根にどのくらいの発電ポテンシャルがあるかどうか、シュミレーションできるウェブサイトを公開しています。
    ほかにも、田畑の上にソーラーパネルを設置し、農業と発電を同時に行う「ソーラーシェアリング」(別名「営農型ソーラー」)という試みも広がっています。売電料金の一部が農家の収入となるため、過疎化地域における新規就農者不足の解消や、耕作放棄地をよみがえらせる効果が期待されています。

    *1:https://www.renewable-ei.org/images/pdf/20170425/REI_Report_20170425_Wind_LandUseandEnvAsses_JP_Web.pdf

  • 3 使い終わった太陽光パネルはどうなるのでしょう?

    日本で導入されているソーラーパネルのほとんどはシリコンを用いたソーラーパネルで、近年製造のパネルの約8割はガラスでできています。また中に含まれる化学物質は外部に排出されないように設計されているため、環境への排出は極めて小さいとされています。

    寿命は一般的に20年〜30年程度と言われているので、現在使用されているソーラーパネルが廃棄となるのは2040年代。その数は80万トンという環境省の試算もあります*1。それを見すえて、パネルのリユース*2やリサイクルシステムのガイドラインの作成などが、環境省が中心となって始めています*2。
    自治体レベルの例では、福岡県北九州市で試験的に始まった太陽光パネルのリサイクル事業があります。そこでは、すでに95%がリサイクル可能というテスト結果がでています*3。

    太陽光発電による廃棄物を完全にゼロにすることはできませんが、数十万年以上地球に残り続ける放射性廃棄物を出したり、大気汚染物質や温室効果ガスを毎日放出するリスクの高いエネルギーではなく、エネルギーの効率化を徹底して進めながらより環境や生態系に負荷の少ない持続可能な自然エネルギーを選んでいく必要があると考えています。

    *1:https://www.env.go.jp/recycle/recycling/renewable/h2810/h28-01.pdf
    *2:"https://www.env.go.jp/recycle/car/pdfs/h27_report01_mat06.pdf
    *2:http://www.env.go.jp/press/files/jp/102441.pdf(環境省のリサイクルガイドライン)
    *3:https://ameblo.jp/enekeireport/entry-12250916291.html

  • 4 自然エネルギーはお天気頼みなので不安定だし、コスト高ではないですか?

    自然エネルギーは火力発電や原子力発電と異なり、発電量が「変動」します。でも「変動すること」と「不安定であること」は違います。自然エネルギーの変動は、正確な天気予報があれば予測ができます。
    例えばドイツでは、気象データを元に、15分単位で風力発電所の発電量が予測されています。予測に応じて、風車の運転を調整したり、他の発電所から電気を融通する準備をしたりしています(参考ブログ:自然エネルギーについてのよくある質問にてお答えしています)。

    精度の高い予測と、広範囲で電力を融通することは、安定した電力供給に必要不可欠です。たとえば、東京が雨で太陽光発電が十分でなくても、仙台が晴れていればその発電分を東京へ送ることもできます。また、日本には、地熱や中小水力、持続可能なバイオマス発電など、天候による変動が少ない自然エネルギー源も豊富にあります。
    実は、2016年5月4日にはピーク時(12時から13時)の電気需要のうち、最大46%が自然エネルギーでまかなわれました(太陽光30%、水力14%、風力2%、地熱0.3%、バイオマス0.3%)*1。さらに、世界的に自然エネルギー100%の国や地域も増えています(詳しくはQ.5をご覧ください)。

    コストの「高い・安い」には、様々な見方がありますが、自然エネルギーの導入が進む海外の例を見ると、自然エネルギーのコストは低下し続けています。逆に、原発や化石燃料発電のコストには、事故対策費や建設工期の延長による損害、資源価格が変動することもあり、上昇傾向にあります。またパリ協定*2を達成するために、炭素価格も上昇するでしょう。



    出典:市民が変えるエネルギー基本計画プロジェクト リーフレットより
    http://ene-rev.org

    原子力発電や化石燃料発電に使われる補助金やコストは、私たちが税金や電気料金で負担しています。そのうえ、原発の費用には、事故の賠償費用、廃炉費用、処分方法の決まっていない廃棄物の処理費用、そしていまも収束しない東京電力福島第一原発事故の事故処理に必要なコストは70兆円にものぼるという試算があります*3。


    化石燃料も同様に、気候変動への対策費や、大気汚染による健康被害のコストも考えられます(新規の石炭火力発電所建設における健康影響についてシュミレーションをしたレポートはこちらからご覧いただけます)。また、パリ協定以降、金融機関が石炭火力への投資から撤退する動き(ダイベストメント)がすでに始まっており、融資や投資を受けられる可能性も低くなってきています。

    日本では2012年から、「地球温暖化対策のための税」として、二酸化炭素の排出量に応じた税を支払う仕組みが導入されています*4a。北欧やヨーロッパ諸国では1990年代から「炭素税」*4bとして導入され、気候変動対策としてだけではなく、一般財源や社会補償費としても使われています。アジアではシンガポールが2017年にパリ協定の目標を達成するために、炭素税の導入する意向を発表しました*4c。
    将来の負担も考えると、経済的に合理的なのはどのようなエネルギーなのか、という視点も非常に重要ではないでしょうか。

    一方、自然エネルギーのコスト低下は世界ですでに始まっており、日本でも政府の支援制度が始まった2009年以降、同じ傾向がみられます。家庭用の太陽光発電設備費用について、2008年度には1キロワット(kW)あたり72万円でしたが、2016年度には、平均36.7万円/kWと大幅に減少しています。また、太陽光発電の固定価格買取額(10kW未満)は、2012年度が42円だったのに対し、2017年度は28円(出力制御対応機器設置義務なし)まで下がりました*5。つまり、太陽光発電が普及し、発電コストが下がっているということなんです。

    *1:http://www.isep.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/05/s9j.png
    *2:2020年以降の気候変動問題に関する、国際的な枠組み。2015年にパリで合意された
    *3:http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201704/CK2017040202000129.html
    *4a:http://www.env.go.jp/policy/tax/about.html#sec04
    *4b:http://www.jacses.org/paco/carbon/qanda.htmM
    *4c:https://www.env.go.jp/policy/tax/misc_jokyo/attach/intro_situation.pdf
    *5:http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html

  • 5 自然エネルギー100%の国や地域はありますか?

    あります!
    日本国内では、鹿児島県・屋久島がその一例です。年間を通して雨に恵まれた気候のため、島全体の電気のほぼ100%が水力発電でまかなわれています。屋久島がエネルギーを自給自足している島ということは実は知られていないのではないでしょうか*1。

    他にも福島県は2040年までに自然エネルギー100%を、長野県は2017年に自然エネルギー自給率100%を目指すなど、自治体が積極的に自然エネルギーの導入を進めています。

    海外の例でいうと、アイスランドは自然エネルギー100%ということで有名です*2。100年以上も前に導入された水力が7割、火山が多いことを利用した地熱3割でエネルギーをまかなっています。地域暖房の9割に地熱発電で発生した温水を利用していたり*3、地熱発電所のデザインに力を入れて観光地としても活用しているようです。なお、アイスランドには原子力発電所も火力発電所もありません。

    ほかには、デンマーク・ロラン島*4。ここは自然エネルギー100%の島というだけでなく、自給率がなんと600%というから驚きです。余った電気は国内外へ輸出もしています。沖縄本島と同じくらいの大きさの島ですが、熱電併給(コージェネレーション)なども行われています。島民所有の風車で島のほとんどのエネルギーを補っています。

    もう1つの北欧の国、ノルウェーでは主に水力発電(その次に地熱、風力と続き)で、ほぼ自然エネルギー100%で暮らしています*5。広大な自然にかこまれた地形を生かした発電方法を採用していることが功を奏しているようです。CO2は発電に加え輸送でも排出されますが、2017年1月には、ディーゼル車とガソリン車の新車販売台数が5割を切ったというニュースがありました。ハイブリット車や電気自動車の普及を進め、2025年までに車からのCO2排出ゼロを目指しています*6。

    実は、中米にあるコスタリカもほぼ自然エネルギー100%の国なんです*7。常備軍隊を持たない平和国家として世界に知られているコスタリカですが、2021年までにカーボン・ニュートラル国家になることを宣言した国でもあります。野心的な目標のもと、豊かな自然環境をいかした自然エネルギーを国をあげて推進しています。2015年はじめからの75日間、自然エネルギーだけで国全体のエネルギー需要をまかなうことに成功しました(水力発電が供給電力の約8割、残りを地熱と風力で占める)*8。自然エネルギー100%になる日はもうすぐです!

    *1:http://greenz.jp/2015/03/01/yakushima/
    *2:https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/contribution/2013/nikkeiecology01.html
    *3:https://www.env.go.jp/nature/geothermal_power/conf/h2303/ref03-1.pdf
    *4:http://epmk.net/tomokonielsen/
    *5:https://www.ssb.no/en/energi-og-industri/statistikker/elektrisitet
    *6:http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/22/news045.html
    *7:https://solarjournal.jp/otherenergy/7701/
    *8:https://www.theguardian.com/world/video/2015/mar/26/costa-rica-only-renewable-energy-first-75-days-of-2015-video

  • 電力会社の乗り換えについて

    6 電力会社乗り換えをしたいのですが、どうすればできますか?

    電力会社を乗り換えるのは、実はとても簡単です。乗り換えしたい電力会社を決めたら、今使っている電力会社の検針票(1カ月の電力使用量と料金が書いてある電力会社からのお知らせ)と支払い情報のわかる預金通帳・クレジットカードなどを用意して申し込めばOKで、元の電力会社へ連絡する必要はありません。なお、ホームページで申し込める電力会社もあります。

    アパートやマンションなどの集合住宅・賃貸でも、電力会社と個別に契約を結んでいれば、乗り換えが可能です。ただし、建物全体で一括して契約を行っている(高圧一括受電契約)場合は、個別に乗り換えすることができません。まずは管理会社や管理組合に相談しましょう。実際に電力会社をスイッチした人の体験談をお聞きしたら、「簡単で拍子抜け」「書類を書いて送るだけ」と教えてもらいました。

    詳しくは、こちらでご紹介しています。電力会社乗り換え先の参考として、Q.7「どこの電力会社に乗り換えれば環境に良いですか?」もあわせてご覧ください。
    また、ご自宅で太陽光発電などを行なっていても、発電した電力の売り先と、利用する電力会社(乗り換えしたい会社)を変えることができる場合があります。まずは、いま契約している電力会社に確認してみることをおすすめします。

  • 7 どこの電力会社に乗り換えれば環境に良いですか?

    クリーンな電力会社を選ぶポイントは4つあります。
    1.電源構成をきちんと表示していること
    2.原子力や化石燃料に依存しないこと
    3.自然エネルギー100%の供給をする、もしくはめざしていること
    4.原子力・石炭関連産業から独立していること



    2017年8月時点で登録されている小売電気事業者は414業者あり、電力自由化開始当初の2016年4月から比べ約100ほど増えました*1。中には電源構成をきちんと表示していない会社や、原子力や化石燃料に関連する会社に関係している会社などがあります。電気の利用の仕方や、地域によって選べる電力会社が異なるので、上記の4つのポイントに注意して調べてから、乗り換えすることをおすすめしています。

    電力会社クリーン乗り換えガイド
    グリーンピースの「電力会社クリーン乗り換えガイド」は、2016年4月1日までに登録されていた新電力会社の情報をまとめています(情報自体は2016年当時のものです。ご了承ください)。ほかにも、全国の消費者団体や環境団体が運営する「パワーシフトキャンペーン」では、自然エネルギーを供給する「パワーシフトな会社」を随時紹介しています。そちらもご参考にしてみてください(グリーンピース・ジャパンはパワーシフトキャンペーンの運営団体です)。
    *1:http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/summary/retailers_list/

  • 放射線測定・原子力発電について

  • 8 福島での放射線測定、食品の放射能測定はやっていますか?

    グリーンピースでは東京電力福島第一原発事故が起きた直後の2011年3月末から現地へ入り、現在まで継続的な放射線測定調査を行なっています。調査にあたり「グリーンピース放射能測定室 シルベク」を開設し、原発事故による影響のモニタリングを続け、放射線測定の内容と結果も、毎回シルベクのページで公表しています。2017年現在、食品の放射線測定調査は行なっておりません(過去の測定結果はシルベクのページからご覧いただけます)。なお、各地に市民による測定所があります。

    また、よく福島県産の食べ物は安全なのか? と聞かれることがあります。食品の放射能測定は福島県の「ふくしま復興ステーション」でも結果が公表されていますが、数値を基準値以下でどれくらいの値だったのかという、わかりやすい形で提供していません。
    厚生労働省も継続して食品の放射能検査を行なっていますが、測定する品目も限られていたり、食品中の放射性物質そのものの量ではなく、そこから受ける被ばく線量予測を公表する形をとっているため、十分ではないと考えています。

    食品の安全性については、福島県産にかぎらず、一般的に農薬、大気汚染、いつのまにか土壌や海洋に忍び込んでいる有害物質、魚の体内に蓄積するマイクロプラスチック、添加物など、食の安全を揺るがしかねない要素は増えています。食品や環境の汚染の原因をなくしていくと同時に、放射能を含めて信頼性のある検査や基準が必要です。

  • 9 原発は気候変動の防止のために必要なのですか?

    いいえ、必要ありません。
    気候変動の進行を食い止めるためには、二酸化炭素などの温室効果ガスを、一刻も早く確実に大きく減らすことが必要です。このために最も重要なことは、大量の温室効果ガスを出す化石燃料による発電をやめていくことです。

    原発は発電時に温室効果ガスを出さないことが利点として語られますが、過去、中越沖地震が柏崎刈羽原発を直撃したことや、東京電力福島第一原発事故が物語っているように、原子力は常に取り返しのきかない巨大事故のリスクがつきまといます。また、原発でトラブルがあるたび、同じモデルの炉や同じ業者の炉を点検するために一斉停止が行われるなどします。
    その間のバックアップとして、火力発電所が発電量を増やして稼働し、大量のCO2が排出されるため、「確実に」減らすことになりません。化石燃料の火力発電所を原発に置き換えていくことは、時間・費用・事故リスクなどを考えれば長い時間がかかり、非現実的です。

    原発事故前後のCO2排出量にあまり目立った変化がなかったのは、大規模な省エネと代替エネルギーを天然ガス(LNG)に置き換えたことが理由でした。

    つまり、原発を動かさなくても、CO2排出量はあまり関係しないということが示されました。



    取り返しのつかない気候変動の進行をくいとめるためには、CO2排出量の削減は喫緊の課題です。原発や石炭などの化石燃料といった、環境や人体への被害とリスクが大きい環境汚染エネルギーではなく、一層の省エネと、すでに世界的が実践している、より民主的で環境にも優しい自然エネルギーという選択肢で気候変動を解決していくべきだと考えています。

  • 10 原発や化石燃料に代わるグリーンピースの代替案は何ですか?

    答えはもちろん「自然エネルギー100%」です。
    グリーンピースは、省エネを進め、それでも必要なエネルギーを自然エネルギーでまかうことが可能であることを、レポート『自然エネルギー革命シナリオ』(2011年発行、日本語要約版)で示しました。

    実は、2011年の東京電力福島第一原発事故以降、電力需要量は年々減少しています*1。背景には、「節電によるコスト削減」という理由が1番にありますが、次の理由は、「節電することが習慣化したから」、そして「環境意識が高まったから」が続いています*2。

    さらに省エネ文化を推進していくために、グリーンピースでは、主に事業者に対しピーク料金を設け利用を引き下げることや、熱利用の促進など技術的に可能なことを徹底するなどの対策がさらに必要だと考えます。

    省エネルギーを積極的に進める一方で、必要なエネルギーは太陽光、太陽熱、風力、小水力、バイオマスなどの自然エネルギーでまかないます。自然エネルギーの発電所を新しく作る際には、地域の暮らしや環境への影響がしっかりと評価され、地域も合意のもとで作ることが大切です。また、その際には自然エネルギーの発電所を設置してもいい場所を事前に指定するゾーニング制度(詳しくはQ2をご覧ください)が有効です。

    既存の天然ガス火力発電所は、自然エネルギー100%に移行していくあいだの「つなぎ」として稼働率が一時的に高まっていますが、上述のシナリオに基づけば、日本にはすでに十分な天然ガス発電容量があるため、新規の建設容量の追加は不要です(日本の天然ガス発電所は全国に57基)*3。

    グリーンピースはシナリオの中で、原発と石炭火力発電所を先に廃止し、自然エネルギーの発電設備が設置されるまで、化石燃料のなかでは温室効果ガスの排出が比較的少ない既存の天然ガス火力発電所を一時的なつなぎの手段として使用することを提案しています。

    *1:https://pps-net.org/column/16392
    *2:http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_jukyu/pdf/014_07_00.pdf
    *3:http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/electric_power/ep002/faq.html#headline4

  • 11 海外では石炭火力発電への投資から撤退する動きがあるようですが、石炭火力発電の何が問題なのですか?

    地球の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることで世界が合意し、温室効果ガス排出量を大幅に削減する約束をしたパリ協定の締結は、世界的な脱石炭の流れを加速させました。その結果、世界76カ国の688の機関が、ダイベストメント(石炭への投資をやめること)*1を約束しているのです。

    石炭は、ほかの化石燃料と比べ、二酸化炭素の排出量が一番多い燃料です。また「クリーン」とうたわれている最新型の石炭火力発電(IGCC)と比べても、天然ガス(LNG)の約2倍の二酸化炭素が排出されます(下図参照)。
    出典:Don’t go back to the 石炭ウェブサイトより

    世界中の科学者が集まったグループ、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の第5次報告書では、人間の活動による二酸化炭素の排出が、気候変動を推し進めていると指摘されています*2。 世界中が脱石炭を目指し、新たなエネルギー政策をうち出すなか、日本には96基(4231万kW)*3もの石炭火力発電所があり、加えて新設計画が40基以上(2000万kW以上)*4もあります(2017年9月時点)。

    石炭火力発電は環境への影響に加え、人体への影響も避けられません。 たとえば、硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)といった大気汚染物質を放出します。最新の石炭火力発電所には、大気汚染物質を除去する装置がありますが、放出される煤塵(ばいじん)は微粒子サイズのため、空中に浮遊し人間の肺へ付着してしまいます。
    その結果、呼吸器疾患などの健康被害の可能性が高まるということが示されています*5。 さらには、日本で使用される石炭の8割は、オーストラリアとインドネシアからの輸入に頼っています(下図)。輸送の時点で、すでに二酸化炭素が排出されるうえ、輸入コストは2015年に約2兆円にのぼっています*6。
    出典:資源エネルギー庁(2015年)より



    石炭火力発電を増やすことは、気候変動を加速させ、近隣住民の健康被害をうみ、輸入コスト、輸入にかかる二酸化炭素の排出など、世界規模で起きている気候変動や人の健康への影響も避けられません。そして、石炭はいずれ枯渇する資源です。石炭火力に頼った社会ではなく、自然エネルギーで動く社会こそが明るい未来ではないでしょうか。

     [詳しく知りたい方へのおすすめブログ]

    ・石炭火力発電所による環境破壊について:
    「河川の45%が汚染の危機にー日本が石炭輸入を頼るインドネシアの現地調査で、環境基準違反が発覚」

    ・日本政府および日本企業による国外への石炭火力発電所について:
    「壊されそうな農村を守りたい。インドネシア住民が、日本企業による石炭火力発電所の建設に反対する理由とは?」

    *1:http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/59126/
    *2:http://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf
    *3:http://sekitan.jp/plant-map/ja/v/table_existing_ja
    *4:http://sekitan.jp/plant-map/ja/v/table_ja
    *5:http://www.kikonet.org/wp/wp-content/uploads/2016/05/Japan-case-study_JP_final4.pdf
    *6:http://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2017pdf/whitepaper2017pdf_2_1.pdf

  • 12 原発や自然エネルギーの基礎知識がありません、何か良い資料はありますか?

    「でんこれ」があります!
    「原発ってそもそもどういう仕組み?」「クリーンなエネルギーのことを知りたい」など原発や化石燃料、自然エネルギーの現実、基本的な知識を得ることができます。(A3サイズ裏表:折りたたみ時は約15x11cm)

    でんこれ
    ▶︎pdfをダウンロード
    「でんきのほんと でんきのこれから2017改訂版 」


    ▶︎印刷したものをご希望の方は、以下のお問い合わせフォームかお電話にてお申し込みください。
    お問い合わせフォームから>
    「でんこれ 2017 希望」としてお名前、ご住所、お電話番号、ご希望部数のご明記お願いします。

    電話で申し込む> Tel 03-5338-9800
    ※印刷したものは、2017改訂版のみになります。

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    ▶︎過去のでんこれをダウンロード
     ※一部情報が古くなっています、ご了承ください

    「でんきのほんと でんきのこれから 2011年版 」
    「でんきのほんと でんきのこれから Q&A2011年版 」
    「でんきのほんと でんきのこれから2 2012年版 」


  • 気候変動について

    13 温暖化は実際に起こっているのですか?

    気候変動や地球の温暖化に対して異論を唱える人もいますが、グリーンピースは、各国の政府から選ばれた約1000人の科学者で構成されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告を根拠としています。
    そのIPCCが公表した第5次評価報告書では、大気中の温室効果ガスが増えており、世界の平均気温が上昇していることは99%以上確実だとしています*1。そして、温室効果ガスが増えている原因は、95%以上の確かさで私たち人間の活動によるものだとしています*2。なお、IPCCの公式動画では、さらにわかりやすく、以下の3点を今回の報告書の「重要なメッセージ」として伝えています。

    3点の「重要なメッセージ」
    1. 気候システムの温暖化には疑う余地がない
    2. 気候システムに対する人間の影響は明瞭である
    3. 温室効果ガスの継続的な排出は更なる気候変動をもたらし、将来何世紀にもわたって不可避なものとなる
    (文部科学省、経産省、気象庁、環境省の責任のもと翻訳が作成されています)

    これは1000人以上の論文寄稿者と14万件を超える評論コメントを行なった約2000人の査読者が導き出した結論に基づいています。これは世界中の科学者が代表する各国政府の公式見解です。グリーンピースでは、この報告を根拠にエネルギー・気候変動問題に取り組んでいます。

    気候変動について、IPCCについてもっと知りたい方は、
    ブログ『気候変動ってなんだろう?―日本初開催のIPCC総会、本日閉幕』
    をお読みください。

    *1:http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/ipcc_ar5_wg1_spm_jpn.pdf
    *2:http://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/ipcc_ar5_wg1_es_jpn.pdf


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